昭和17年(1942)は、日本の鉄道開業70年の年でした。
それを祝する目的のために、当時の逓信省は記念切手の発行を企画し、鉄道記念日であった10月14日に1種の記念切手を発行しました。
それが写真の切手で、描かれているのはC59形蒸気機関車です。
図案としてC59が選ばれた背景には、当時の最新鋭機であり、また看板列車であった特急牽引機としても、広く国民に知られた車両であったことがあげられます。
さて、画像の切手は封筒に貼られ、切手には変わった消印が押されています。
これは、切手収集家の間で「初日カバー」と呼ばれるもので、切手の発行日に切手を貼り、その日のために特別に用意された消印を押したものです。
この特別な消印を「特殊通信日付印」(以下、特印と略)と呼んでいます。
特印には、その記念行事に相応しい図案が描かれるのが常ですが、今回は「鉄道70年」と言うことなので、1号機関車が描かれています。
C59形蒸気機関車の切手に、1号機関車の特印が押されているわけで、ここに最新型の蒸気機関車と、最古の蒸気機関車が顔を揃えたことになります。
「鉄道70年」を祝うには、これ以上は無い素敵な記念品と言えましょう。