三美運輸専用線のB6形蒸気機関車

函館本線の美唄(びばい)駅を起点とした支線である南美唄支線の終点、南美唄駅から三井美唄炭鉱の子会社である三美鉱業(炭鉱)の専用線(1973年9月廃線)があり、三美運輸が輸送に当たっていました。
そして、三美運輸で使用されていたのが、下の写真の明治生まれの2両のB6形機関車(1号・2号)です。

昭和44年4月撮影
昭和44年4月撮影

B6と呼ばれるグループは、数系統の形式群からなりますが、三美運輸のものは2500形に属するものです。
元々B6はイギリス製の機関車だったのですが、日露戦争の軍用目的のために大量発注となり、ドイツ製やアメリカ製のものも誕生しました。
2500形はアメリカのBaldwin社製であり、明治37年に16両、翌38年に150両が製造されたのですが、その多くが戦争が終わってから納品されたため、陸軍受領後にただちに官設鉄道などに移管されています。

写真の三美運輸1号機は、明治38年10月に製造され、陸軍に納入後、同39年9月に鉄道作業局へ移管され、岩見沢や札幌など北海道内で運用されたのち、昭和10年度に廃車。同15年5月16日に明治精糖へ譲渡され使用ののち、同39年10月10日にスクラップとして売却。同42年4月、三美運輸が購入し石炭輸送に使用したのち、昭和48年3月30日に廃車となりました。

「明治の鉄道で絶対に見落してならない機関車」と言われたB6。
総数500両を超える大所帯であり、その一族の中には70年もの長きに渡って使用された車両もあります。
B6一族は、鉄道史に残る名機関車の一両であることは、間違いありません。